総長賞だけでなく、総長大賞まで頂いてしまいました!!!
総長大賞の賞状は当日決まったためにまだ名前が書かれておらず、後日改めて頂けることになっています。
本当は昨日のうちに日記書きたかったのですが、帰宅したら家のインターネットが完全に壊れ全く接続できないという非常に残念な状況になってしまいましたw
授賞式では、中高の同期で数理科学研究科の大島芳樹くんと一緒だったほか、第1回総長賞を受賞した「東京大学法科大学院出張教室」の代表メンバーも同じ筑駒同期の秋田純くん、総長賞授与式の前に行われた学位記授与式の修了生答辞を述べたのも筑駒同期の塚本鋭くん、と、同期ばかり4人も同じ場所に集い、プチ同窓会みたいな雰囲気でとても楽しかったです。みんなそれぞれエキスパートの道を着実に進んでいます。
今日まで秘密にしていた、プレゼンテーションでの「秘策」ですが、
今回の授賞式用に一生懸命Demo Reelを作っていました!
先ほどYouTubeにもアップしましたので是非是非ご覧ください!!
授与式で音響使ってプレゼンしたのは僕だけでしたw
音楽は、この日のためにとてもとてもお忙しい中サイエンス映像学会理事の泉山由典さんに作って頂きました!本当にありがとうございます!!
プレゼンはこんな感じでした↓
皆さんやはり既に色々なところから引っ張りだこで講演なども多いせいか、笑いの取り方をマスターしていたり、非常にわかりやすいプレゼン資料を作っていたりと、とても楽しいプレゼンでした。
そしてその後、総長を始めとした選考委員は別室に移り総長大賞の選考会議へ。「総長大賞は当日に用意されたお祭り」という意識だったのですが、まさか僕自身が頂けるとは思っていませんでした…
大賞は僕と、第1回受賞者の笠井友貴さん。将棋の女流アマ名人戦で2連覇、将棋を通じた国際活動などを積極的に行っていらっしゃる強者であります。懇談会で2ショット写真を撮っていただきました!(後ほど写真アップします!)
総長大賞の記念品として、めちゃくちゃ重い豪華なクリスタルのトロフィーを頂きました!これも後日名前が彫られた後に帰ってくるのでそのときまた写真アップします!
今回の授与式のために時間を作ってくださり関係者として駆けつけて下さった、デジタルハリウッド株式会社の古賀鉄也代表取締役社長兼CEO、川村めぐみ広報戦略部広報PRグループ主任、番組ディレクターの松本こうどうさん、そして懇談会に駆けつけて下さったサイエンス映像学会副会長の林勝彦さん、どうもありがとうございました!
総長大賞を取ると、そのあとの懇談会で少し長くスピーチ出来るというチャンスが与えられます。最後に、そのスピーチで述べたこと+α(だいぶ+αの部分が多いような気もしますが…)をここに記したいと思います。
僕から皆さんへのメッセージです。
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まずは、3年生の夏からずっとご指導下さった東京大学大学院医学系研究科法医学講座の吉田謙一教授、原田一樹講師、中嶋信技術官と、関係する全ての皆様に心から感謝致します。
裁判員裁判用の3DCG画像を始めとして僕がこれまでに作ってきた画像や映像は、作ったからと言ってScienceやNatureなどの超一流雑誌の論文として載ることはまず無く、画像や映像によって学術的にフィードバックがあるものでも、研究自体を促進するものでもありません。学術的な意味はほとんど無いかもしれません。映画やゲームを作る代わりに、学術を題材にした画像や映像を作った、簡単に言えばただそれだけのことです。
大学内でのキャリアを考える場合、出来るだけ有名な雑誌に掲載され、より多くのインパクトファクターを集めることが鉄則で、大学側もそれを大きく評価します。実際、過去に先輩方や先生方からも、「有名な論文に載るような研究をすることが何よりも大切。」と言われたことが何度かあります。
そのような現状も相まってか、僕が大学入学以外ずっと取り組んでいる、難しい学術の内容をCGと言う表現手段を用いて一般の方に理解して頂けるようにわかりやすくするmedical illustration、もっと広く言えば「scientific visualization」と言う分野は特に日本では全くと言って良いほど発展していません。
しかし、研究というのは一般の方々の支持を得て初めて意味を持つものではないでしょうか。研究者同士で評価し合うことももちろん重要ですが、大学で研究する以上は、常に「世間の目」を忘れてはいけません。多くの研究者がそれを意識するきっかけとなったのが、昨年話題になった事業仕分けかもしれません。民間企業の場合は話が異なってくるかもしれませんが、大学ベースの研究はそのほとんどが国家予算で成り立っています。国民1人1人から集めたお金です。ちょうど株式会社と同じような仕組みで、予算という資本で研究をしている「株式会社」つまり各大学や研究室は、お金を出している「株主」である国民1人1人にしっかりと自分たちの「会社」の内容を説明し、「株主」に理解してもらい支持を得なければあっという間に「倒産」してしまいます。ごく当たり前のことなのにそれに気付く人は非常に少なかった。
研究者は結果を出すことの他に、「株主」からどう支持を得るかを常に考えていなければいけないのです。嘘をついてはいけませんが、魅力あるように「見せる」ことはとても大切です。「株主」に「事業内容」を全て理解してもらう必要は必ずしもありません。今後も投資したくなるような魅力をアピールすることが極めて重要です(もちろん、裁判員裁判用のCGのように全て正確に表現することが求められるケースもあります)。良い声を吹き込むために声優さんに協力して頂いたり、映像にぴったりの音楽をプロの作曲家に作っていただいたり、研究者の皆さんからすれば、「そんなものにお金と時間をかけるなんて…」と思われるかもしれませんが、実は極めて重要なことなのです。
アメリカのいくつかの有名大学には「デザイン室」のような部門があり、ある論文が雑誌の表紙などを飾る場合には大学が抱えるデザイナーが自ら論文を読み、研究者と対等な立場で議論をし、学術的にも芸術的にも質の高い作品を作り上げます。世界有数の病院であるMayo Clinicでは医学の世界を専門にしたイラストレーターの集団を抱えています。
医学の世界に限った話になりますが、アメリカ、カナダでは、卓越した芸術センスを持った学生が医学生と一緒に解剖学や生理学の授業を受け、同じ試験に臨み、手術室に入り先生方の後ろから術野をスケッチし、且つ手描きやコンピューターアートを学んでいます。
それが日本ではどうでしょうか。研究者自身がプレゼン資料作成に頭を悩ませ、教科書を執筆する際にもなかなかアーティストが見つからず、常に困っている状況です。
さらに悪いことに、一般向けの市民講座やサイエンスカフェなどに積極的に取り組んでいる方は、「研究で良い結果を出せないから一般向けの世界に逃げた」と言われることさえあります。
日本でも最近ようやく、科学技術振興調整費の中から東大の科学技術インタープリター養成講座や北大のCoSTEP、早稲田大のMAJESTyなど、科学と社会との在り方を考えるような講座が誕生しましたが、まだまだ改善していくべきところも多いでしょう。
「Scientific Visualization」の分野は、アーティストが頑張るだけでは発展することは絶対に出来ません。研究者の皆さんの全面バックアップがあってこそ初めて発展する分野です。日本でこの分野が発展するかどうかは、研究者の皆さんが、面倒くさいと思わずに真剣にアートについて考えて下さることが絶対条件です。そして大学全体としても、一般の世界と学術の世界とを結ぶ架け橋である「Scientific Visualization」の専門家たちが希望を持って活動できるようなキャリアやポジションを用意したり、論文以外の評価方法を真剣に考える必要があります。
今回の僕の総長賞、そして総長大賞の受賞は、この「Scientific Visualization」の分野を日本で根付かせるための突破口になるのではないかと期待していますし、また自分の人生をかけてこの分野を根付かせることが僕の使命だと思っています。
法医学、医学だけに留まらず、各学部間の垣根を越えて、今後あらゆる研究者の皆さんが、「Scientific Visualization」の重要性、可能性を少しずつ考えていって下さればと思います。
そして日本の最高学府である東京大学とともに、この分野を発展させていくことが出来ればと思います。
2010年3月24日 瀬尾拡史
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これまでご支援下さった全ての方に改めて心より感謝致します。
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