次なるフェーズに行くために。

悩んでいることは言葉にして書いてみるとちょっとは整理されるかもしれないと思い、書き記してみる。

サイアメントを本格スタートさせて1年、何とか最初の1年を乗り切ることが出来た。

最近では嬉しいことに、僕のやっていることやサイアメントの取り組みに対して興味を持ってくれる学生さんや同世代なども少しずつ増えてきて、学生さんがわざわざメールで問い合わせてくれることも出てきた。

サイエンス系のコンテンツ制作、となると、それを専門にしていると謳っている会社が少ないこともあってか、とても大きなところから相談を頂くことも徐々に出てきた。

自分のところで作れるかはわからないけれども、少なくとも他のところではまず間違いなく出来ないだろうな、と思われる案件もちらほら増えてきた。

で、どうするか、である。

僕が今後取り組んでいきたいと思っていることは、映像制作、ソフトウェア開発、システム開発、いずれにしろ、作り手が難しい医学・サイエンスの内容を一生懸命理解しないと作れないものばかりで、且つ、デザインやプログラミングなども相当な腕前でなければいけない。

サイアメントに興味を持ってくれる学生さんや同世代は、東大を中心に、ポテンシャルは相当高い人たちばかりで、「彼らが集まれば、きっと何か出来るだろう。」という漠然とした自信みたいなものはある。吸収力が高く、頭の良い彼らであれば、全く新しいことであってもすぐにある程度のところまでは行けるだろうし、自分たちで考える能力にも長けている。

ぜひ少しずつでも一緒にやっていきたい。

難しい案件も、チームがいれば達成出来る、…ような気がする。

彼らと時を共有するためには、小規模であってもそろそろきちんとした場所が必要だ。勉強会や議論をするためには、機材・設備も、そこまでスペックの高いものは必要ないにしても最低限揃える必要がある。

興味を持ってくれている彼らの興味が薄れてしまう前に何か実行しないと、と言う焦りもある。

が、毎月自動的に収入が入ってくるようなシステムはまだ無く、仕事だってこれから恒常的に入ってくる保証も何も無い中で、身の丈以上に背伸びをして機材を整えたり、学生さん達が来やすいような環境を整えたりするのは会社経営の鉄則に反しているのではないかという大きな不安もある。環境と設備とだけ整えて色々やってみたけれども、結局固定費を自分の会社で負担しただけで何も出来ませんでした、ごめんなさい、と言う可能性も決して少なくないと思う。

最近ずっとそんなことを考えている。

…書いてみたけど結局何も整理出来なかった。。。
スタートアップの人たちはみんな同じようなことを考えていたりするんだろうか。

でもやっぱり、根拠も何も無いけれども、いま興味を持ってくれている人たちが集まれる環境を作って、勉強会やったり何なりすれば、今までどの企業もやってこなかったようなことが出来るような気がするんだよなぁ。売り上げ予想とか全然立てられないし、どうやったら収益に繋がるのかもわからないことだらけなのだけれども、でも優秀な若い人たちを中心にえいやっ!と作ったら、医療を色々と良い方向に変えられると思うんだけどなぁ。


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NHK人体 新シリーズを見て。

やや遅ればせながら、
NHK人体 ミクロの大冒険 第1回 あなたを創る!細胞のスーパーパワー
を見ました。

神経細胞のCGが出ていましたが、今回の放送より遙か昔、2008年に自分で細胞のCG作ったもんね!とか言ってみる。当時作った画像を久々に引っ張り出してみました。

脳神経細胞

今から6年前、大学4年生の研究室配属と言う期間で、「僕は細胞の正確な立体構造を3DCGで再現したいのです。医学部図書館にあるソフトウェアと、先生の研究室の顕微鏡を使えばたぶん出来るはずなのでやらせて下さい。」と、無茶苦茶なお願いをしたにもかかわらずに快く引き受けて下さったのが薬理学教室の飯野教授でした。感謝感謝です。
(その後、そのソフトのライセンス更新を医学部図書館が辞めてしまったのはとてもとても残念でした。)

今回のNHKの細胞のCGは、ひょっとしたらデータから自分たちで立体再構成をしている…かもしれませんが、おそらくは、大学から提供された3DCGモデルをレンダリングしたのだと思います(ノイズ除去などがされていなかったように見えてしまった。まぁどれがノイズでどれが細胞の輪郭かは誰もわからないので正解は無いのですが、ちょっとゴツゴツし過ぎな印象を受けました。)。

で、僕は当時研究室の先生に指導して頂きながら、マウスから脳を取りだして培養するところも、細胞1つ1つにベクター使って蛍光タンパク質を注入するところも、顕微鏡で撮影するところも、そのあと専用のソフトウェアを使って細胞の輪郭を抽出するところも、CG制作用にデータ変換するところも、質感付けもレンダリングもコンポジットも全部自分でやったもんね!とか言ってみる。但し、見る人が見るとわかってしまいますが、僕の培養がイマイチで、取得出来た画像は死にかけの神経細胞になっておりますw そして、とりあえず立体構造を得るところで力尽きて、ノイズ除去やらリトポロジーやらは全然出来ていません。

ただ、去年の医学書院「臨床検査」の表紙は、このときの経験があったのでプロデュース&ディレクションが出来ました。

番組は、何か全体的にCGが少なかったのと、プロローグと同じCGが結構使われていた気が。CG屋さん的には、たくさんの赤血球の速い動きでモーションブラーがかかっていなかったのがとても気になってしまった…。

腸上皮のCGは、僕が知っている海外の腸上皮のCG動画作品にとっても似ていたのですが、あれを参考にしたのかなぁ。しかもその作品はモデリングチュートリアルも公開されていて、そのチュートリアル画像にもとても良く似ていた。

第1回のサムネイルにもなっているコチルドンは映像でも絵的にとても綺麗でした!

うん、今のところやっぱり15年前の人体IIIの勝ち!


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