SIGGRAPH 4日目!

SIGGRAPH 4日目は、真面目にセッションを聞きました。

午前中は、朝9:00からお昼12:30頃まで3時間ぶっ続けでPhysically Based Shadingについてのセッションを聞きました。

Physically Based Shading in Theory and Practice

Physically Based Rendering (PBR)とも呼ばれておりまして、日本ではPBRという名称のほうがメジャーかもしれません。

PBRは最近のCG業界での流行りでして、従来のCGでは、色(color)は赤、反射(reflection)はこれくらい、みたいな感じで、ある意味デザイナーにわかりやすい形で質感(material)を決めていたのですが、最近では金属かどうか、どれくらいザラザラしているのか、など、物理的な理解に基づいた質感作りをするのが主流になっています。

日本語だと、Cygamesさんが最近書かれたブログが入門編としてとてもわかりやすいかと思います。

物理ベースレンダリング -基礎編-

セッションのタイトルが”in Theory and Practice”だったので、物理的な基礎的部分と、デザイナー的な目線とどっちも解説するのかなぁと思ったら、ガチ技術的なことばっかりで、最初の2セッションは基礎的な部分の解説だったのでわかりやすくついていけたのですが、その先は残念ながら全くついていけませんでした…。

PixarやWeta Digitalでレンダラーを開発しているチームの方が、本当に超ガチな感じで物理モデルの数式を提示して議論していたりなんなりで、でもこれぞSIGGRAPHなんだなぁ、と。

お昼は、たまたま落合陽一くんと会場で会ったので、みんなで外のおいしいハンバーガー屋さんに食べに行きました。

午後は、今回初めてのTechnical Papersのセッションに出ました。

Sketching & Surfacing

お目当ては、今年のTechnical Papersでおそらく唯一、最初から医療分野への応用を目指して研究された論文、
Topology-Constrained Surface Reconstruction From Cross-Sections
の解説。

会場内からの質問量もこのセッションで一番多く、とても楽しかったです。

同じセッションで発表されていた
SecondSkin: Sketch-Based Construction of Layered 3D Models
なんかも、これ医療分野にも使えそうだなぁ、とか思いながら聞いておりました。

僕は技術者でも何でもないので、「これはアルゴリズムのここを改良すればもっと精度が上がるのではないか」的な頭は残念ながら全くなく、「この方法を使えば医療CGのこの課題を解決できるかも」的な発想しかできず、そこが弱いところでもあり強いところでもあると思っているのですが、まぁでも研究成果の実用化ってそういうことだよね、とも思っているので、「医学での利用」という目的意識を持って各セッションを聞いて回ると、他の参加者の方々とはちょっと違う目線で物事を見ることが出来るのではないかなと思っています。

というわけで明日も朝からTechnical Papersの解説セッションを聞きに行きます。
いよいよ最終日。ここでしか聞けない情報をたくさん吸収して日本に戻れれば、と思っています。


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SIGGRAPH 3日目!

Los Angelesに来て3日目。SIGGRAPH参加も今日で3日目です。

今日は初日と昨日の授賞式で少し疲れてしまったため、朝はゆっくりめに起きて11:00頃に会場へ。

まずは、今日から始まったExhibitionに行ってみました。

まぁ、あれです。医学系の大きな学会だと医療機器の展示会が併設されていることがあるかと思いますが、それとあまり大きくは変わらないかな、という印象。超有名な企業やCGプロダクションが出展しているので派手なところもありますが、でも中身がどうかというと、この会場に来なければわからない新情報、みたいなのはあまりなかったような気がしました。

…と、いっても、あまりブースの人に話しかけていないので実は直接話すと貴重な情報盛りだくさんだったのかもしれないのですが…。

Side Effects社のブースで、日本で何度かお会いしたHoudini ArtistのScott Keatingさんとばったりお会いできたのと、Houdini T-shirtsをゲット出来たのが嬉しかったです。

高校生の時にちょっとだけ使っていた数式処理ソフトウェア、Mathematicaも展示されていたのが意外でした。

午後は、
Volume Rendering and Medical Visualization
という興味を惹かれるタイトルのセッションがあったのでそれに参加。

期待して行ったのですが、中身は…
X3Dの宣伝でしたw

まぁでもやっぱり医療関係の方々が集まっていらっしゃった印象で、セッションの最後まで残っていたら、「昨日、君の映像見たよ!」と声をかけて下さった方もいらっしゃって嬉しかったです。
エコーのトレーニング装置を開発されているイギリスの会社の方でした。名刺交換も出来たので、これから色々コンタクトが取れれば良いなぁ、と思います。

それにしても、すらすらと英語が出てくる部分もあれば全く単語が出てこない部分もあって、だいぶ相手にもイライラさせてしまったなぁと色々反省。

とりあえず僕からのお勧めは、自分の専門分野に関するソフトウェアは、オリジナルが英語であれば出来る限り英語版を使いましょう。自分のフィールドで言えば、例えばMaya, Unity, Unreal Engine。英語版で使っていれば、少なくとも専門用語は自然と覚えていくことが出来るので、現地でもあまり困りません。チュートリアルなんかは日本語でも良いですが、操作自体は英語メニューでやるのが絶対に良いと思います。

今日はshaderの質問なんかもされたりして、それでも英語がすぐに出てこなかった部分もあるのですが、「メッシュの法線ベクトルと視線ベクトルとの内積を取ってごにょごにょ」くらいの話はすぐに言えました。

んで、同時に思ったのが、医療関係の人たちって日本に限らず世界でもやっぱりゲーム(リアルタイムCG)の世界で割と当たり前になってきているテクニック・ノウハウを知らないんだなぁ、と。

今日のshaderの質問なんかは、リアルタイムCG作ってたら絶対に知りたくなるような話で、UnityとかUnreal Engineのフォーラムを見ていれば絶対にトピックとして見つかるようなものなのに、医療関係の人たちは全く知らない。なんてことが世界共通のようで、このフィールドで日本からでも十分戦っていけるのでは!ともちょっとだけ思いました。ちなみのこのshaderテクニックは東大五十嵐研の尊敬する某氏にもこの前伝授したというのが自分の中でちょっとした(かなり)自慢w

その後は、会場内のプレス向けの部屋で日本の雑誌CG WORLDの取材を1時間。沼倉編集長に久々にお会いしました。楽しかった。

夕方は
Real-Time Live!
に参加。

Fast Teeth Scanning for Advanced Digital Dentistry

という、歯ブラシみたいな形の特殊な3Dスキャナを口にいれて、それこそ歯磨きするのと同じ要領で動かすとその場でリアルタイムに歯と歯茎とが、それも色や質感もついた状態でスキャンでき、上下の歯のかみ合わせまで出来てしまうという技術がとても凄かったです。

技術的にどれだけ最新なのかは自分に十分な知識がないのでわからないのですが、医療分野での実用化までこぎつけたところが超凄いなぁ、と。UIもとても目に優しく且つ洗練されておりました。

途中、一番の見せ場でソフトウェアが2回落ちてしまって、登壇者の方(おじさん)が本当に焦っていたのですが、会場からは暖かい拍手があり、3回目で上手くいったときは会場から大きな拍手が沸き起こり、アメリカらしいとても良い雰囲気でした。

リアルタイムに3DCGのヒトの顔の表情に変化をつける技術の紹介がたくさんありました。流行なのでしょうか??
表情が実際の人間に近づいてくると、機械に感情移入することも今後本当に起こり得るのかもしれない、と感じました。

夜は疲れてしまったのでコンビニ(Los Angelesにもありました!)で食料を買ってホテルで食べるという簡素なものに。

明日はPhysically Based Renderingについてのセッションと、Technical Paperで医学系のものが1つあったので、そのセッションに出て色々と勉強してこようかなぁと思います。


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