病理学の本は、結局「ロビンス基礎病理学」の日本語版を購入。実際に読んでみると、確かに日本語が変な部分もありますが、薬理学の教科書も発生学の教科書も日本語訳のレベルとしては同じような感じだったので、あまり差はないかと。
ご存じの通り、僕は去年から東大で法医学に関わっているのですが、今日は教授とお話しする機会がありました。ご自身がなさっている研究のお話をして下さったのですが、「法医学」と言う言葉から連想される研究とは全く異なり、最先端の分子細胞生物学的なもので、とてもびっくりしました。
法医学と言うと、日々解剖して死因を解明する「解剖屋」のイメージがとても強いです。僕もそう思っていました。でも先生がなさっている研究は、細胞レベル・分子レベルの基礎研究であり、生化学や薬理学・病理学で習う知識が次から次へと出てきます。
基礎なんて興味ないし、試験受かればそれでいいや~
みたいな気持ちで勉強しているだけではとてもとてもついていけない内容でした。薬理学と病理学の知識は、つい最近試験があったり現在授業を受けていて教科書も読んでいる最中なのでなんとか単語が出てきましたが、少し前に習った組織学の用語や知識は、教授の先生の説明を聞いて何か受け答えをしようと思っても、何となく記憶のどこかに断片的に残っている程度で、コメントしたくても単語が出ずに恥ずかしい限りでした。
病理学の先生がつい最近、授業でこんなことをおっしゃっていました。
「君たちの大半は臨床医になるだろうから、こんな分子機序とか習っても興味ないとか思うかもしれないけど、この前、○○科(臨床分野)の教授の先生と話したんだけどね、分子のことなんて診療には関係なさそうに思うかもしれないけどね、やっぱりそう言う先生は基礎研究系の最新の話や分子の名前とか、驚くほどちゃんと知ってるんだよね~。」
僕はまだ医者の現場の世界を知らないので、「へー、そうなんだ~」くらいのコメントしか出来ませんが、やはり一流の臨床医の先生というのは、現場で使う治療法や診断などの知識だけでなく、まだ臨床応用までにはかなりの時間がかかるけれども、自分の分野に少しでも関係するかもしれない最新の基礎研究の話題までしっかりとした知識をお持ちのようです。
教授の先生と話していて、一生懸命覚えた知識でもってサイエンティフィックな(?)コメントが出来たりすると嬉しいものですね。まさか法医学の教室で、思いっきり薬理や病理の知識をフル活用することになるとは思ってもいませんでした。
本当に色んな分野の知識が出てきて、良い復習にもなるし(笑)、基礎研究が好きな人ならたぶん興味を持てるであろう内容でしたが、今まで医学部の学生には授業出紹介したことがないとおっしゃっていたので、と、言うか、こんな話をしても誰も興味を持ってくれない、と思っていらっしゃったとのことでしたので、是非来年度の僕らの授業で紹介して下さい、と頼んでおきました。
でも、教科書には載っていない内容なので、絶対に試験には出さないで下さい、と併せてお願いしておきました。笑。
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