天才プログラマ

 今日は母校である筑波大学附属駒場中高等学校(筑駒)の文化祭に行ってきました。
 去年の文化祭以来、1年ぶりの母校訪問です。
 僕は今ではプログラミングは全く出来なくなってしまいましたが、中3のときには筑駒中高パーソナルコンピュータ研究部(パ研)の部長をやっていました(当時もほとんど出来なかったけど…)。
 当時の顧問であり、僕の担任の先生でもあり、今もパ研の顧問をなさっている恩師の先生と1年ぶりに色々とお話ししました。
 今のパ研に関して。
 技術的には、はっきり言ってそこら辺の東大工学部のプログラマーより遙かに上を行っています。(と、思います。)
 中3で天才プログラマに認定された部員がいたり、スーパーコンピューティングコンテストで2年連続優勝したり。
 恥ずかしながら、僕なんて部長をやっていた身にも関わらずコンテストに応募したこともないし、C++だってポインタがよく分からずに断念し、Visual Studioなんて全く手を出さず、MS-DOS上でCをメインにたまに「初めて読む8086」なんかを読みながらアセンブラ使ってV-RAM叩いてたくらいです。
 中1でパ研に入ったときの同級生に、当時最年少で数学オリンピック日本代表になった友達がいて、彼が中2の夏休みに開いてくれた勉強会でベクトルや三角関数や行列のアフィン変換やらを教えてもらい、専門書に書かれていることをようやく理解して2次曲線のレイトレーシングCGプログラムを書いたくらいで、自分の発想力や理論性を武器にオリジナルでプログラムを書いたり最適化したりなんてことは全く出来ませんでした。本当にお恥ずかしい限りです。
 そんな時代からすれば今のパ研の技術はまさに輝くべきものがあるのですが、残念ながらその実力をアピールする力が全くない。
 もらった冊子を見ても、「プログラムの性能解析」「プリプロセッサメタプログラミング」「ダランベールの収束判定法」等々、一般人(僕自身を含む)が見てもちんぷんかんぷんな超高度なことがたくさん書かれているのですが、「天才プログラマに認定」とか「スパコン優勝」とかの活動報告が1行もありません。
 自分(たち)にしか出来ないような圧倒的な実力を持ち、それを誇りに活動することは実に素晴らしいことなのですが、上手く外に情報発信できなければ単なる宝の持ち腐れです。
 「分かってくれる人だけ分かってくれれば良い」と言うスタンスでは大抵物事は動きません。
 僕が部長をやっていたときは、僕自身が「見た目重視派」の人だったので難しい話はせず、ビジュアルにCGやゲームを見せたり、「難しいプログラミングをするとこんな面白いゲームが出来るんだよ~」など、理論の説明はせずに、そのことによって何が出来るかを説明するような発表をしました。
 難しい理論やアルゴリズムを説明するだけの実力も才能が自分に無かったのでビジュアルに逃げただけなのですが、当時のパ研にしては珍しくたくさんお客さんが入ってくれた印象が今も残っています。
 まず大勢の目を惹き付け、その中で本物の専門家やエキスパートが興味を持ってくれたときに初めてピンポイントで深く突っ込んだ説明や議論をするべきだと僕は考えますし、顧問の先生も概ね同じような意見でした。
 あんなに素晴らしい技術を持っているのに、とても勿体ない気がします。まぁそれも含めて中学生らしさ、高校生らしさなのかもしれません。
 彼らが今後、プログラムの世界で日本の将来を担っていくことは間違いありません。しかも、単なるプログラマーとしてではなく、例えば分子生物学の世界、例えば化学の世界で超一流になっていくのだと思います。
 何かもっと、今のうちから彼らに光が差すような上手い方法があれば良いのに、と思った今年の文化祭でした。


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