SIGGRAPH2015 Computer Animation Festival
BEST VISUALIZATION AND SIMULATION
Multi-scale Multi-physics Heart Simulator, UT-Heart
を受賞致しました!!!!
自分にとっての一番の目玉、SIGGRAPH2015 Computer Animation FestivalのElectronic Theaterでの授賞式を先ほど無事に終えました。
今日は、まず午前中に(後半の1時間だったのですが…)
Immersive Visualization for Science and International Research
というセッションを見てきました。
まぁ世界中色々なところでAdvanced Visualization Labとかいうものがあって、VMDやらVTKやらParaViewやら、僕も今までに使ったことのあるようなソフトウェアを使って可視化頑張っています、みたいな話だったり、OpenGL系の話だったり、話題的には色々あったのですが、超目新しい、というものはなかったように思いました。
なんだろう、自分でいうのもあれですが、可視化の取り組み自体は多いけれども、可視化そのものが目的になってしまっているような気がするものもいくつかあったような気がします。可視化してどうしたいのか、みたいなことは、可視化してからではないとわからない、ということももちろん多いかとは思いますが、フワフワ感が多かったような印象を受けました。予算の桁数が違うような気もするのですが(いや実はそれが一番の問題なのかもしれませんが)、最終ゴールを見据えた可視化、という観点からは、自分たちもまだまだ世界と張り合えるような気がしました。
午後は夕方からまずElectronic Theater入選作品の関係者だけが集まれるミニパーティーへ。
いやはや、ちょっとこれはさすがに僕には敷居が高すぎました。。。まず、今回日本人で受賞したのが我々1作品だけ。で、他の方々のネームプレートを見ると、Star Warsを手掛けているIndustrial Light & MagicだったりIce Ageを手掛けているBlue Sky Studiosだったり…。しかも皆さん当然ですが超ペラペラな英語で盛り上がっておりまして、全く会話に加われませんでした…。
審査員の1人に日本のOLMデジタルの方がいらっしゃり、唯一その方と日本語で少しご挨拶…と思ったら、最後の最後に、MPCのHead of Productionの方が話しかけて下さる!!という奇跡が!!!数々のハリウッド映画のVFXを手がけられている超凄い会社。「心臓のCG、僕たちもCM用に作ったことがあるのだけれども、動きから何から凄いね!!」と仰って下さいました。
その後、おそらく1000人以上?が入る大きなホール、Electronic Theaterにて授賞式。壇上に登ってメチャクチャ重いトロフィーを頂いて、記念写真を撮るだけ。スピーチは0。あっという間に終わりました。
Jurassic Worldのメイキングやらアナ雪の短編Frozen Feverやら超凄い作品群に混じって我々の作品もフルバージョンで上映されました。
ガチ医学のCGが、いわゆるエンターテイメントCGの超第一線の作品と並んでこうして世界に紹介されたことは、とても意義深いことだと思います。
超巨大画面で映像が流れたあとの拍手には感慨深いものがありました。
そのあとはレセプション。
日本ではみんなから「やめとけ」とか言われましたが、首からiPadを提げて映像をループ再生させながら会場を歩いたのが良かったのか、何人か声をかけてくださいました。後ろからわざわざ、或いは、誰かと喋っているときにわざわざ話しかけて下さった方が、Googleのソフトウェアエンジニアの方とAmazonのソフトウェアエンジニアの方だったというのがとても面白かったです。
CG業界を目指されている海外の学生さんたちとも(私の下手な英語で)少し話をすることが出来たのですが、印象的だったのは、何人かで一緒に来ている学生さんの場合、スクリプト書いたりリグを作ったりするような、テクニカル系を目指している方がだいたい必ず1人はいた、という点。
僕はだいぶ技術よりな視点に偏りがち、というのは自分でもわかっているのですが、でもやっぱりこのあたりが日本と海外とで違うなぁ、と思いました。CGは、もちろん最後は感性だったり表現力だったりが差を作りますが、そこにたどり着くまでにはやっぱりCGなので数学と物理とが基本なわけで、本格的な数学・物理とまではいかなくても、論理的に考えてリグを組んだり、スクリプトを作ったり、という分野に日本ももっと力をいれなければいけないのではないかなぁ、と感じました。
いやぁ、しかし凄い1日でした。
あ!最後に、SIGGRAPHの会場で総務省「変な人」仲間の落合陽一くんを見つけたので、2人で記念撮影!
CGとしてのUT-Heart映像はこれで世界に認めて頂きました。次のステージは、どこの病院でも使えるような実践レベルにまで引き上げること。
私はシミュレーション自身は本当に何も出来ないのですが、ちゃんとしたシミュレーションが出来たあとは、必ずそのあとの可視化、つまりビジュアリゼーションが鍵になります。数値データをどう可視化して、どういじってどう評価できるようにするか。ここまで出来て、初めて実用化になります。
その意味でも、このSIGGRAPHの受賞名が、
BEST SIMULATION
でも
BEST VISUALIZATION
でもなく、
BEST VISUALIZATION AND SIMULATION
となっているのには特別な意味があるのだと思いますし、SIGGRAPHの皆さんも同じ認識をお持ちなのではないかと思います。