「起業家はどこで選択を誤るのか」読了。
起業に関する書籍を2冊立て続けに読みました。1冊は、この「起業家はどこで選択を誤るのか」。もう1冊は、起業する人の必読書と言われている「起業のファイナンス」。
あくまで個人的な感想ですが、必読書と言われている「起業のファイナンス」よりも、「起業家はどこで選択を誤るのか」のほうが100倍ためになりました。
「起業のファイナンス」は、起業の全体像をざっくり短時間で掴むには良いのですが、結局は
「資金調達は銀行借り入れじゃなくてVCにしようね。そのとき、VCが損しないように優先株にしましょうね。優先株ってVCにも起業家の皆さんにも平等で素敵でしょ?」
とVC側の思考を刷り込ませる一方で、上手くいかなかったときに創業者、創業チームよりもVCが最優先されると言うことに全く触れられていなくて相当危険だと感じてしまいました。普通株による投資の場合には、確かに投資後に1株あたりの額が跳ね上がって、新たな株式発行が難しくなる可能性はありますが、投資を受けるよりずっと前から少しずつ株式発行して持ち株増やしたりストックオプション用の株を用意しておけば良いわけだし。本読んでも優先株のメリットが全然わかりませんでした。
…と言う理解なのですが、重大な間違いをしていたらごめんなさい。その場合はご指摘頂ければ幸いです。
あ、でも、繰り返しますが、起業の全体像をざっくり短時間で掴むにはとても良い本だと思います!
その点、「起業家はどこで選択を誤るのか」では、出来るだけ中立的な立場から、それぞれの決断がその後どのような影響を及ぼすのか、どのようなときに緊張が高まるのか、創業者が考慮すべき事項などについて細かく論じられていて、学べることがたくさんありました。
「会社のコントロール維持」と「会社の価値の最大化」、要するに「コントロール」と「富」のどちらを取るのかはなかなか難しい決断ですね。どちらかに振り切らないと「二兎を追う者は一兎をも得ず」で沈没する可能性が極めて高くなるんだなぁと感じました。
印象に残ったのが
「ファウンダーCEOが初期段階にスタートアップを速やかに成長させるほど、ファウンダーが新しいスキルや能力を求められる機会がより早く訪れ、必要とされる条件を満たせなくなるときが早く訪れることになるかもしれない。」
というくだり(414ページより)。
確かにその通りですねぇ。
自分の中の色々なもやもやを、かなり体系的に説明してくれる、とても良い本でした。
お薦めの本です!